プロトン交換膜(PEM)に関するご質問と回答
Nafion™(ナフィオン™)プロトン交換膜は、水電解装置や燃料電池といったグリーン水素の拡大に欠かせない中核技術です。プロトン交換膜(PEM)とPEMに関連するプロセスについてのよくあるご質問をご紹介します。以下に掲載されていないご質問がございましたら、お問い合わせください。
水電解用PEM
- 水電解とは何ですか。
- 水電解にはいくつか種類がありますか。
- プロトン交換膜(PEM)プロセスとは何ですか。
- 水電解にPEMを使用する利点は何ですか。
- 水電解用PEMとしてNafion™(ナフィオン™)に代わる選択肢はありますか。
水電解とは何ですか。
水電解プロセスでは、電解装置が電気と水を気体の水素と酸素に変換します。この水素と酸素は、後でエネルギー源として使用するために貯蔵が可能です。水電解は、大半の水素製造方法とは異なり、変換過程の副産物として汚染物質や有害な温室効果ガスを発生させません。
水電解にはいくつか種類がありますか。
はい。現在、市販されている主な水電解システムには、アルカリ水電解装置とプロトン交換膜(PEM)水電解装置の2種類があります。アルカリ技術もPEM技術も、オンサイトおよびオンデマンドで超高純度かつカーボンフリーの乾燥水素を生成できます。
プロトン交換膜(PEM)プロセスとは何ですか。
このプロセスでは、PEMがプロトンをアノードからカソードに伝導すると同時に、電極の電気絶縁を確保します。
2つの電極に電位差(電圧)が適用されると、負の電荷を持つ酸素分子はアノードで電子を放出し、プロトン、電子、O₂を発生させます。H+イオンはプロトン伝導膜を通ってカソードに移動し、カソードで電子と結合してH₂を生成します。
PEMは、正の電荷を持つイオンのみがカソードに移動できるようにします。
水電解にPEMを使用する利点は何ですか。
プロトン交換膜(PEM)による水電解は、断続的なエネルギー源と組み合わせる場合に優れた代替手法となります。これまでPEMのコンポーネントはコストが高く、大規模な商業用途のシステムでの使用が制限されていましたが、近年の技術進歩によりコストが大幅に下がり、新しい多くの事例においてPEMのコンポーネントの使用が実現可能な選択肢となってきました。
プロトン交換膜の水電解装置には、21世紀の水素製造の要求に適した利点がいくつかあります。
プロトン交換膜は以下を可能とします。
- 高電流密度で作動するため、コスト削減につながります。特に、エネルギー入力が急激に増加すると他の方法ではエネルギーを捕捉できないことがある風力や太陽光のような変化の激しいエネルギー源と組み合わせたシステムに当てはまります
- 高分子電解質であるため、高圧でも超薄膜で機能します
- プロトン交換膜は抵抗損失が低いため、エネルギー効率が向上します
- ガスクロスオーバー率が低いため、安全な保存や燃料電池での直接使用において重要な要素となる、非常に高純度の生成ガスを製造できます
- 腐食性化学物質を使わずに機能します
また、プロトン交換膜は高い電力密度で機能するため、小規模なシステムでも使用可能です。アルカリ水電解ではPEM水電解の最大10倍の設置面積が必要となる場合があるため、スペースに制約がある顧客にとっては重要な考慮事項となります。
水電解用PEMとしてNafion™(ナフィオン™)に代わる選択肢はありますか。
重要なのは、水電解で使用するプロトン交換膜として、Nafion™(ナフィオン™)の適切な代替品は知られていないという点です。プロトン交換膜(PEM)電解装置はNafion™(ナフィオン™)のような膜を使用します。というのも、こういった膜は、現在と将来の水電解用途で必要とされる高い伝導度、信頼性、性能を提供するからです。物理的な信頼性が高いことから、容易な取り扱いが可能で、運用時の混乱にも強く、膜の耐用期間全体にわたって安定した性能を維持できます。
燃料電池用PEM
- 燃料電池とは何ですか。
- 利用可能な燃料電池にはいくつか種類がありますか。
- PEM型燃料電池とは何ですか。
- PEM型燃料電池にはどのような利点がありますか。
- 燃料電池用PEMとしてNafion™(ナフィオン™)に代わる選択肢はありますか。
燃料電池とは何ですか。
燃料電池とは、酸素または他の酸化剤との化学反応を通して、燃料からの化学エネルギーを電気に変換する装置です。水素が最も一般的な燃料ですが、天然ガスのような炭化水素やメタノールのようなアルコールが使用される場合もあります。燃料電池は蓄電池とは異なり、化学反応を維持するために燃料と酸素/空気を絶えず供給する必要があります。ただし、これらが供給され続ける限り、継続的に電力を生産できます。1
利用可能な燃料電池にはいくつか種類がありますか。
はい。現在利用可能な燃料電池には、以下のような多くの種類があります。
- アルカリ形燃料電池(AFC)2
- ダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC)
- 微生物燃料電池(MFC)
- 溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)2
- リン酸形燃料電池(PAFC)2
- ポリマー電解質膜形燃料電池(PEMFC)2
- 固体酸化物形燃料電池(SOFC)2
PEM形燃料電池とは何ですか。
ポリマー電解質膜(PEM)形燃料電池(PEMFC)はプロトン交換膜形燃料電池としても知られており、高い電力密度を実現します。PEM形燃料電池を作動させるには、水素、大気からの酸素、水が必要です。一部の燃料電池で必要とされる腐食性の溶剤は不要です。通常、純粋な水素を燃料として貯蔵タンクまたは搭載されている改質装置から供給します。
際立った特徴は以下のとおりです。
- 低温/低圧範囲(50°C~100°C)
- 固体ポリマー電解質膜
- 白金触媒を含む多孔質炭素電極
PEM形燃料電池にはどのような利点がありますか。
PEMには以下のような利点があります。
- 他の燃料電池に比べて軽量
- 他の燃料電池に比べて小体積
燃料電池用PEMとしてNafion™(ナフィオン™)に代わる選択肢はありますか。
重要なのは、燃料電池で使用するプロトン交換膜として、Nafion™(ナフィオン™)の適切な代替品は知られていないという点です。実際に、Nafion™(ナフィオン™)イオン交換膜は市場初の製品であり、今でも世界で最も広く流通しているPEM材料です3。Nafion™(ナフィオン™)は業界をリードする技術とソリューションを使用して、この分野の市場を牽引しています3。